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リヒト・ファミリー眼科

こどもは、ブルーライトカットメガネを装用しない方が無難です。

2021/09/19
 
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こどもは、ブルーライトカットメガネを装用しない方が無難です。

神戸の患者の皆様へ

新学期に入りました。お子さまの見え方いかがですか?黒板はちゃんとみえていますか?

ところで、令和3年4月14日付けで、私の所属している日本眼科学会、日本近視学会、日本弱視斜視学会、日本小児学会の4学会と、眼科検査の国家資格のプロの団体である視能訓練士協会が合同で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表しました。

結論からいうと、「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。」という見解がでております。原文をご覧になりたい方は下記のリンクをご覧下さい。普通のメガネ自体を否定するものではありません。ただ、我々眼科の専門家が専門家に向けて発信した文書なので、かみ砕いて一つ一つわかりやすく説明していきます。


【詳しくはこちらの眼科学会のHP】


ブルーライトとその役割、有害性

ブルーライトは可視光線の一部(波長 380~495nm 前後の青色成分)です。太陽光や電球、デジタル機器等から出る光に含まれています。

一方、生き物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。体内時計とも生物時計ともいわれています。

ブルーライトの光刺激には、目を通じて、脳へ「今は昼である」と認識させる作用があります。

故に、体内時計とブルーライトの関係についてはいくつかの論文があり、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、体内時計が狂ってしまい、体は昼と勘違いしてしまします。夜間のデジタル機器をみることは、睡眠障害をきたす恐れあるが指摘されています。

ただし、デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されています。

太陽光と小児の近視進行抑制

近視の進行抑制の科学的根拠の高い事項として「屋外活動」が注目されています。つまり、お日様の下で元気よく遊ぶことです。
一方、近視の進行には遺伝や近業(本を読んだり、TVゲームをしたりして、近くを見る作業をすること)が関与するといわれています。

しかし、アメリカでは両親が近視でも近視でなくても、屋外活動が長ければ近視になりにくいデータ結果が発表されました。またオーストラリアでは近業時間の長さにかかわらず、屋外活動が長ければ近視になりにくいデータ結果が発表されています。

故に、小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与えるものと考えられています。

関連記事:【近視の進行を抑える目薬をご存じですか?】

子供のブルーライトカットメガネ装用で懸念されること

上記の理由で十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まると考えられています。

ゆえに、ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できません。

体内時計への考慮した場合、就寝前なら有用性は考えられますが、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠けます。

産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められています。

上記のことを総合して「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。」という見解が、各関連学会でております。


以上です。少し専門的なこともお話しましたが、メガネを購入される際は参考にしていただければ幸いです。
リヒト・ファミリー眼科
院長 橘 理人


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